超能力について思うこと

 超能力と技術(科学でも良いです)の線引きってどこなんだろうって思います。
 僕は基本的には、超能力否定派で、もしそれが実在するならば、それはすでに超能力ではない、と思っています。例え、理屈は証明できなくても、自在に再現可能であるべきだ、と。
 例えば、飛行機が飛ぶ原理は、未だに完全には解明されていないのですが、飛行現象は超常現象ではありません。それと同じで、どんな条件でも完璧に再現可能な超能力者が現れたら、それは既に超能力ではなく、ただ単に、科学が追いついていないだけだと考えます。
 先日、中国の超能力者が、何時間もかけて、折りたたまれた紙に書かれた文字(漢字!)を透視していました。僕はそれを見て、「何かトリックがあるはず」と思いました。つまり、科学的にあり得ないと思ったのです。
 一方、フォトリーディングという技術を持っている人がいます。フォトリーディングとは、文字を文字として認識するのではなく、映像として覚えてしまう技術です。 Derren Brown がこのフォトリーディングを使って、分厚い辞書の内容をすべて覚えてしまうというパフォーマンスをするのですが、僕はこれを見て、「超能力だ」とか、「トリックがあるはずだ」とは思いませんでした。科学的にあり得ることだと思ったからです。
 その中国の超能力者が、本当に3時間くらいかければ目の前の紙の中に書かれた「漢字」を完全に透視できたとしても、20分ほどで辞書を全部覚えてしまった Derren の能力の方がよっぽどすごいし、優れた能力だと個人的には思います。
 もちろん、Derren のパフォーマンスにも、何かトリックがあったのかもしれません。
 しかし、ポイントは、「フォトリーディングは起こりうる」と僕の心が捉えたと言う事。そして、「透視はあり得ない」と僕の心が捉えたと言う事です。この差はいったい、何なのか?
 20分で辞書を全部覚えてしまうと言うのは、1枚1枚ページをめくって、心に焼き付けていけば、訓練によっては出来うるのではないかと僕は思ったわけです。
 それでは、辞書の1ページを、3秒で覚えてしまうパフォーマンスを見たら、僕はそれを「いや、あり得ない、それはトリックだ」と思うでしょうか? いや、思わないでしょう。それもあり得る、と思うと思います。
 では、1秒では? ……やはり、あり得ると思う。
 じゃあ、0.1秒では?
 Derren が、目の前を一瞬で通過した辞書の1ページを、全部完璧に覚えてしまったら、その現象を信じるでしょうか?
 多分僕はそこで初めて、「それはトリックに違いない」と思うと思います。
 そんな一瞬で、人間の目が物体を認識できるわけがないから、トリックのはずだ、と。
 では、中間の、0.5秒では? 0.3秒では? 0.8秒では?
 そんなことを考えていたら、途端に自分の考えに自信が持てなくなりました。
 僕は無根拠に線引きをしている。
 一体、正しい線はどこに引くべきなのだろうか?、と。
 当たり前なのだけれど、結局、超能力かどうか(というか、僕の場合はトリックがあるかどうか)、認めるか認めないかの判定って、ものすごく主観的なものなのだと思いました。
 目の研究とか、脳が認識する原理などを研究している人からすれば、僕の、1秒は認めるが0.1秒は認めない、という主観は素人考えで、トリック(超能力)か現実かの境界線を、僕とは違ったところに引く可能性が高いのです。
 もし、会話というのが、無根拠な主観のキャッチボールだとしたら、何と恐ろしい世界に生きているのだろうと思いました。
 トリックか、超能力か、という問題を隣に置いておいたとしても、そうなのですから。

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