やぶさかでない

 もともと大して使われていなかった言葉が、何かのきっかけで急速に使われ始めることがあります。
 例えば「酷似している」という言葉。
 僕が学生の頃は、口語として「酷似してるよね〜」とか聞いたことはなかったし、テレビでレポーターが「酷似しています」なんて言うこともありませんでした。
 しかし「新世紀エヴァンゲリオン」においてこの言葉が、シトのDNA配列が人に酷似している、というくだりで使われてからは、完全に市民権を得たようで、平気で使われるようになりました。
 同じように、最近いきなり使われ始めた言葉があります。
 「秀逸」という言葉です。
 少なくとも一昨年あたりまでは、口語として「秀逸だよね〜」なんて言い方は、ほとんどの人はしていなかったように思います。
 しかし去年の後半あたりから、「秀逸!」「秀逸!」と、いろんな人が得意気にこの言葉を使うようになりました。
 「酷似」も「秀逸」も、ちょっとだけ難しそうで、使うだけでインテリっぽい雰囲気をかもし出せる言葉。
 誰もが懐にこの言葉を忍ばせて、使えるチャンスを狙っているからこそ、あっという間に広がっていったのでしょう。
 こういうの、まだまだたくさんあると思うんですよね。
 例えば、「やぶさかでない」という言葉があります。
 「おめーたちがそこまで言うなら、俺だって協力することにやぶさかでねーぜ」、なんてラグビー部主将が部室で話している姿を、もしかしたらもうすぐ見られるのかもしれません。

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