エンプティーワード

「世界が平和でありますように」っていう看板をときどき街で見かけますが、これ、まったく意味のない看板ですね。何かの役に立っているわけでもないし、この看板を見て、明日から生活が変る人がいるとも思えない。第一、世界が平和であることを望んでいない人なんているのだろうか?

このような言葉を、「エンプティーワード」と言います。良いこと言っていそうだけれど、良く考えるとまったく中身のない言葉。

選挙の演説とかはほとんどこれですね。「明るい社会作りを目指します!」とかね。何も意味していないし、何も約束していません。

話が長い人って、いますよね。そのくせこちらに話すすきを与えない人。そういう人の話をよく聞くと、かなりの部分がエンプティーワードで構成されていることに気がつくと思います。話に内容がありそうでないため、口を挟むことができないのです。反論するにも材料さえない。すぐに話が脱線する。そのまま本題に戻らない。いつまでも結論がないまま話は延々と進んでいきます。

このような人と話す場合、「エンプティーワード」という概念を持っていると、話しの聞き方が変ってきます。相手の話しているセンテンスに対し、「これはエンプティワード」、「これはエンプティーワードではない」とラベル付けしてみてください。それだけで、相手が本当に言いたいことは何か、比較的楽に理解できると思います。(ただ、会話がはじめから終わりまで、広義な意味でのエンプティワードであることも少なくありません)

議論になった場合、エンプティーワードを巧みに使えるかどうかで勝敗が決まってしまうことも多いです。エンプティーワードを多用されると、なかなか反論できず、頭の中でエンプティーワードを追っかけているうちに、議論の争点がわからなくなってしまうのです。

相手の頭を混乱させ、考えようとする力そのものを衰弱させてしまう方法を、催眠では「混乱法」と呼びますが、それとまったく同じなのです。

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